潰瘍性大腸炎Q&A

潰瘍性大腸炎Q&A

潰瘍性大腸炎はどのような病気ですか?

大腸の粘膜にびらん(粘膜表面が浅く欠損すること)や潰瘍(粘膜を越えて組織が深く欠損すること)が形成され、下痢、粘血便、腹痛や発熱などの症状を呈する大腸の炎症性疾患です。これらの症状がよくなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことが多く、いまだその原因は不明です。

発病してからの経過は一人一人で異なるのですか?

大腸の炎症の程度・炎症の範囲によって経過は変わっていきます。重症度や経過は人それぞれですが、最近では薬物療法が飛躍的に進歩しているため多くの方が、病気をコントロールしていくことが可能となっています。日常生活も普段と変わらずお過ごしいただけます。生命予後も一般の方とあまり変わらないとされています。

潰瘍性大腸炎は大腸がんになりやすいのですか?

一般の人に比べて、大腸がんの発生率は高いと言えるでしょう。しかし、すべての患者さんでその発生率が高いと言うわけではありません。全大腸炎型で発病してから長期経過している患者さんでその発生率が高いと報告されています。早期に発見された大腸癌は予後がよいことから、7年以上経過した患者さん(直腸炎型を除く)に対して1~2年に1回の内視鏡検査が薦められています。

潰瘍性大腸炎は遺伝するのでしょうか?

遺伝的な要素が無いわけではありませんが、単一の遺伝子によって遺伝する病気ではありません。遺伝子因子以外に様々な環境因子が複雑に絡み合って発症すると考えられています。遺伝する可能性は極めて少なく、心配する必要はありません。

潰瘍性大腸炎は完治するのでしょうか?

長期間に渡り緩解を維持している患者さんはたくさんおられます。しかし、再燃の可能性が否定できないのも事実です。この病気の原因が解明されておらず、根治療法が開発されていない現在では、完治という言葉を使用せず、緩解という言葉を使うのが一般的と言えるでしょう。

おなかの痛みはないのですが、固形便に血液が付着するのはなぜですか?

症状がなくても、おそらく直腸にわずかな炎症が残っているためと思われます。直腸粘膜ももろくなっているために固形便の通過で少量の出血が起こり、便に血液が付着するのでしょう。あまり心配する必要はありませんが、気になるようでしたら、主治医に相談して下さい。坐薬を使用するなどの工夫が必要です。

最近よく風邪をひきます。のどが痛く、また咳もよくでます。
潰瘍性大腸炎を発症すると細菌やウイルスなどにかかりやすい身体になるのでしょうか?

そのようなことはありません。どのような方でも体力が低下していると、風邪をひきやすくなります。しかし、患者さんの中にはステロイドや免疫抑制剤を服用している方がおられます。これらの薬剤は免疫反応を低下させることにより、病状を抑える半面、感染しやすくなることもあり、注意が必要です。発熱などが長く続く場合は主治医に相談して下さい。日常のうがいや手洗いなどの予防対策も忘れずに。

緊急時の対応策を教えてください。

まず、大量出血や急激なお腹の痛みを認める時は、中毒性巨大結腸症(結腸が異常に拡張してもどらない状態)や穿孔(腸管に穴が開くこと)などが疑われるため、かかりつけの医療機関を受診して下さい。
震災や災害などの緊急時には、通院が困難になると予想されるので、現在服用されているお薬を把握しておくことと、可能であれば余分にストックしておくのも大切です。

症状がなくても内視鏡検査は必要でしょうか?

病状に変化がなくてもある程度定期的な内視鏡検査が必要です。内視鏡検査は病変の拡がりや炎症の程度を的確に把握でき、適切な治療内容を決定することができます。例えば、緩解期でも、治療内容の変更やお薬を中止する時などは、採血データに比べて肉眼的に病変の状態を観察できる内視鏡検査は、重要な判断材料といえるでしょう。
また、全大腸炎型や左側大腸炎型で発症から7年以上経過している患者さんは、癌化の危険性も考えられ、少なくとも1~2年に1回の検査が必要となります。

潰瘍性大腸炎の合併症を教えてください。

腸管に起こりうる合併症は、大出血、中毒性巨大結腸症、穿孔、癌、狭窄、炎症性ポリポーシスなどです。腸管の合併症で内科的な治療だけでコントロールできない場合には、手術が必要になる場合があります。
腸管以外の場所にできる合併症についてはこちらよりご確認下さい。

現在、国内で主に処方されているお薬を教えてください。

基本的にはメサラジン(ペンタサ)、サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)、副腎皮質ステロイド(経口剤・坐薬・注腸剤・注射剤)、免疫抑制剤が患者さんの病状に合わせて、単独で投与されたり、これらの薬剤を組み合わせて使用されています。腹痛や頻回の下痢に対しては、鎮痙剤、整腸剤や止痢剤を適宜使用する場合もあります。

これらのお薬の使われ方を教えてください。

メサラジンやサラゾスルファピリジンを中心に、病変の拡がりの程度や重症度、炎症の活動性によって、ステロイドの経口剤、注腸剤、坐薬を組み合わせて使用する場合が多いようです。しかし、患者さんの中にはステロイドが十分な効果を示さなかったり、ステロイドを減量すると再燃することがあります。このような患者さんには免疫抑制剤であるアザチオプリン(イムラン)や6MP(ロイケリン)などが使用されることもあります。
患者さんの病状が良くなり、緩解の状態になれば、メサラジンやサラゾスルファピリジンの服用を続けながらこの状態を保つことが基本的な治療法です。

漢方薬が潰瘍性大腸炎によいと聞いたことがあります。
その効果について教えてください。

いくつかの漢方製剤が有効であったとする報告はあります。しかし、単独投与での効果や基本的な治療薬と比較した報告はないようです。合併症など患者さん個々の状態によっても異なりますが、現段階では補助的な治療薬と考えられるでしょう。

代表的なお薬の副作用を教えてください。

メサラジン

過敏性肺障害、心筋炎、心膜炎、胸膜炎、間質性腎炎、ネフローゼ症候群、腎機能低下、急性腎不全、再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少症、肝炎、黄疸、膵炎、発疹、そう痒感、丘疹、蕁麻疹、紅斑、脱毛、下痢、腹痛、嘔気、嘔吐、アミラーゼ上昇、食欲不振、粘液便、便秘、腹部膨満感、口内炎、AST(GOT)・ALT(GPT)・y-GTP・AI-P・ビリルビンの上昇等の肝機能異常、白血球減少、貧血、好酸球増多、頭痛、筋肉痛、関節痛、ループス様症候群、発熱、むくみ、浮腫、全身倦怠感、末梢神経障害

サラゾスルファピリジン

再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、貧血(溶血性貧血、巨赤芽球性貧血(葉酸欠乏)等)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、紅皮症型薬疹、間質性肺炎、薬剤性肺炎、PIE症候群、伝染性単核球症様症状、SLE様症状、急性腎不全、ネフローゼ症候群、無菌性髄膜(脳)炎、肝炎、肝機能障害、黄疸、線維性肺胞炎、顆粒球減少、白血球減少、異型リンパ球出現、免疫グロブリン減少、好酸球増多、AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇、尿路結石、腫脹、浮腫、糖尿、蛋白尿、BUN上昇、血尿、脱毛、食欲不振、嘔気、嘔吐、胃部膨満感、口内炎、口唇炎、舌炎、胃痛、胃不快感、胸やけ、膵炎、口渇、発疹、そう痒感、光線過敏症、血清病、紅斑、顔面潮紅、頭痛、末梢神経炎、うとうと状態、めまい、耳鳴、抑うつ、可逆的な精子減少症、倦怠感、胸痛、筋肉痛、関節痛、心悸亢進、発熱、味覚異常、嗅覚異常

プレドニゾロン

誘発感染症、感染症の憎悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化管潰瘍、消化管穿孔、消化管出血、膵炎、精神変調、うつ状態、痙攣、骨粗鬆症、大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死、ミオパシー、緑内障、後嚢白内障、中心性漿液性網脈絡膜症、多発性後極部網膜色素上皮症、血栓症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤、アナフィラキシー様反応、喘息発作、月経異常、下痢、悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進、多幸症、不眠、頭痛、めまい、筋肉痛、関節痛、局所的刺激症状、満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス、網膜障害、眼球突出、白血球増多、ざ瘡、多毛、脱毛、色素沈着、皮下溢血、紫斑、線条、そう痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚菲薄化・脆弱化、脂肪織炎、発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数及びその運動性の増減

アザチオプリン・6MP

再生不良性貧血、汎血球減少、貧血、巨赤芽球性貧血、赤血球形成不全、無顆粒球症、血小板減少、出血、ショック様症状(悪寒、戦慄、血圧降下等)、感染症、肝機能障害、黄疸、間質性肺炎(肺炎、咳嗽、呼吸困難、捻髪音、胸部X線異常、動脈血酸素分圧低下等を伴う)発疹、血管炎、腎機能障害、膵炎、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、心悸亢進、全身倦怠感、筋痛、関節痛、発熱、悪寒、脱毛、口内炎、舌炎、めまい、骨髄抑制、出血、肝障害、黄疸、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等肝機能検査値異常、血尿、乏尿、食欲不振、悪心、嘔吐、潰瘍性口内炎、下痢、発疹、紅斑、発熱、脱毛、膵炎

ステロイドを長期に服用しても大丈夫ですか?

ステロイドを長期に服用した場合の副作用としては、感染に対する抵抗力の低下、骨粗鬆症、糖尿病の悪化、胃潰瘍が治りにくくなるなどが言われています。ステロイドの1日量が10mg以下の少量であれば副作用の程度や頻度はかなり弱くなりますが、一般的には長期に使用する場合は、注意が必要です。

メサラジンは、副作用が少ないと聞きましたが、なぜですか?

従来から用いられてきたサラゾスルファピリジンは5-アミノサリチル酸とスルファピリジンが結合した製剤です。腸管の炎症には5-アミノサリチル酸が有効で、スルファピリジンは主な副作用発現部分とされています。メサラジンは副作用の軽減を図るために、このスルファピリジンを取り除き、5-アミノサリチル酸だけからなるよう製剤工夫されているためです。

精子への障害があると聞きました。その頻度は?
また回復するのでしょうか?

サラゾスルファピリジンの服用により、精子数の減少などの男性不妊が起こることがあります。その発現頻度は、海外のある試験では精子減少が40%、形態異常42%、運動能の低下92%と報告されており、多くの男性患者さんになんらかの異常が報告されています。精子が元に戻るまでの期間は、サラゾスルファピリジンを中止後、おおよそ2~3ヶ月と言われています。お子さんがなかなかできない方は、その間は完全にお薬を中止すると良いでしょう。また、メサラジンでは男性不妊の報告はありません。

蕁麻疹がでます。急にでては2時間ほどでひきます。
薬が原因でしょうか?

多くのお薬の副作用に、蕁麻疹などの皮膚症状が現れることがあります。しかし2時間ほどで消えるような蕁麻疹は、通常お薬との関係は少ないと思われます。発疹などの皮膚症状が発現した場合には、まず主治医に相談して、皮膚症状が残っているうちに皮膚科の診療を受けることが必要です。

お薬を服用すると物忘れがひどくなるような気がします。
お薬の副作用ですか?

一般的に、潰瘍性大腸炎で用いられる薬剤の副作用で、物忘れといった症状の報告はないようです。しかし、安定剤を飲んでいる場合にはその可能性がありますので、現在服用している薬剤について、主治医とご相談ください。

お薬を服用してから、尿や下着、時には精液が黄色くなることがあります。
なぜですか?

サラゾスルファピリジンを飲んでいる時には、高い頻度で尿、精液などがオレンジ色や黄色に着色すると言われています。時には下着、シャツやコンタクトレンズなどは洗濯や洗浄しても色が落ちないこともあります。この着色はサラゾスルファピリジン自体が染色物質であるためで、同じ構造を有するものの中には、絹や羊毛の染色材料に使われているものもあります。このような病状に関係ないことでも、気軽に主治医に相談されるとよいでしょう。

現在は自覚症状はありません。
薬物治療はいつまで続けなければなりませんか?

通常、緩解期になってからも2~3年は維持療法として、メサラジンやサラゾスルファピリジンを続けるのが原則です。しかし、患者さんの中には5年以上も症状がなく、緩解が続いていたにもかかわらず、再燃した方もおられ、はっきりとした目安がないのも事実です。これらのお薬は長期に服用することの安全性については、確認されていますので、自己判断でお薬を中止するのではなく、必ず主治医と相談してください。

潰瘍性大腸炎で用いるお薬が妊娠、出産や胎児に与える影響を教えてください。

すべての先生方は、患者さんが緩解の状態で、お薬も服用せず妊娠や出産をむかえることを望んでいます。しかし、妊娠中にお薬を無断で中止することにより、症状が増悪し、胎児に悪影響を及ぼすという報告もあります。緩解期に妊娠した場合には、ほぼ正常出産で流産や先天奇形の発生率は健康な人と変わらないとされていますが、妊娠を希望されるときは、必ず事前に主治医に相談してください。また海外ではメサラジン、サラゾスルファピリジン、プレドニゾロンの投与も、妊娠や出産などに特に問題はないとされていますが、治療方針については必ず主治医と相談してください。

海外で、副作用の少ないステロイドが開発されたと聞きましたが・・・

ステロイドはすばらしい効果を発揮する反面、副作用に発現が問題となります。この副作用を軽減し、より安全性の高いステロイド(ニューステロイド)が開発されています。ステロイドの副作用は、ステロイドが全身を経由するために発現することが多く、このニューステロイドは吸収を妨げたり、吸収されても早く代謝されるよう工夫され、副作用の発現を抑えています。ブデソニド注腸剤とベクロメタゾン注腸剤が、海外で製品化されています。潰瘍性大腸炎における経口剤としては、ブデソニドが海外で市販されていますが、今のところ日本で使用できる見込みはありません。

新しい治療法・治療薬を教えてください。

白血球除去療法が試みられています。炎症にはリンパ球や好中球などの白血球が大きく関与しています。そこで、この治療法は一旦、体外に血液を取り出して、白血球だけを取り除くフィルターに通し、残りの血液を身体に戻す治療法です。この治療法は色々なお薬、特にステロイド治療に反応しない患者さんの治療法として使用します。
次に、皆さんが一度は服用したことのあるプレドニゾロンと同じ有効成分の注腸剤が開発されています。リン酸プレドニゾロンナトリウム注腸(プレドネマ注腸)と少し長い名称ですが、製品自体はコンパクトで、QOL低下の原因となる直腸とS状結腸の炎症部位に直接作用します。経口ステロイドよりも全身への吸収が少ないため、副作用も少ないとされています。

現在行われている外科療法とその現状について教えてください。

潰瘍性大腸炎に対する外科治療は、近年では最も進歩した手術治療と言えるでしょう。以前は人工肛門が普通でしたが、現在では肛門機能を温存する手術が発達して(自然排便機能の維持)、著しいQOLの向上が認められています。

肛門機能を維持する術式
  1. 結腸全摘+回腸・直腸吻合術
  2. 大腸全摘+回腸嚢・肛門吻合術
  3. 大腸全摘+回腸嚢・肛門管吻合術

1の術式は術後回復までの期間が短いことや、直腸を残すため良好な排便機能といった利点もありますが、逆に直腸を残すために、その場所に炎症の再燃や長期経過では癌の発生が問題となり今日ではあまり行われなくなっています。これらの欠点を解消した術式が2.3になり、現在では広く行われています。

手術で大腸を全部取っても、栄養吸収には影響がないのでしょうか?

大腸は主に水分の吸収と排便の調節をする場所であり、切除により栄養障害が起こる必要はありません。しかし、胆石症や尿路結石が増加すると言う報告があります。むしろ、手術前の強い大腸病変により厳しい食事制限を余儀なくされていた患者さんにとっては、何でも食べられる術後は、より栄養状態が改善すると言えるでしょう。

手術による合併症はないのでしょうか?

肛門温存術は高度の技術と熟練を要する手術法です。従って、術後早期の合併症としては縫合不全や創感染、出血などがあります。また、晩期合併症として、回腸嚢に炎症を起こすpouchitis、癒着性(隣接の臓器や組織がくっつくこと)の腸閉塞(腸の内容物の通過が障害されること)、手術創におこる腹壁瘢痕ヘルニア、直腸膣瘻(直腸と膣が穴や管でつながること)、胆石、尿路結石などが報告されています。なお、術後は頻便や下痢、漏便がみられますが、経過とともに少なくなる方が多いようです。

手術を薦められていますが、迷っています。

主治医があなたに手術を薦めているのは、手術があなたにとって最もよい生活の質(QOL)を得るための治療法と考えているからです。良く話しあってみる必要があります。また、既に手術を受けた方から、術後の生活状況を尋ねてみてもよいでしょう。

普段の生活でどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?

睡眠不足や過労に気をつけて、リズムのある規則正しい生活が重要です。食事制限は特にありませんが、消化のよいものをバランスよく摂るように心がけて下さい。運動に関しては病気の状態が落ち着いていれば、基本的には特別な制限はありません。かなり激しいスポーツも可能ですが、疲れを残さないようにして下さい。ステロイドを大量に服用している場合や症状の増悪時には運動を控えめにして下さい。

消化のよいものとはどのようなものですか?

消化の良いものとは、低脂肪、低残渣の食品です。
脂肪を多量に摂りますと、脂肪は消化時間が長い為、腸管に負担をかけ、脂肪の吸収不良もみられ、炎症をひきおこす原因ともなります。しかし、脂肪の中でも、しそ油に含まれるα-リノレン酸や、魚油に多く含有するEPAやDHAはn-3系脂肪酸とよばれ、炎症を抑制する働きがありますので、適量摂取に心がけましょう。
食物繊維は、生体にとって必要な成分ですが、不溶性の植物繊維は、腸管を刺激し、発酵や腹痛、下痢を起こしやすいので、調子の悪い時は、摂取量に気をつけてください。ごぼう、たけのこ、ふき、れんこん、海藻、きのこ、こんにゃく等に含まれる食物繊維は固く、又多く含まれていますので、残渣の多い食品といえます。水溶性の植物繊維は、大腸に有効ですが、残念ながら、自然のもので、単独に存在するものはありません。

コーヒーなどの刺激物はよくないと言われていますが、
紅茶、緑茶やウーロン茶も同じでしょうか?

コーヒーなどに含まれているカフェインそのものが潰瘍性大腸炎に影響するわけではありません。つまりこれらの飲み物で敏感になっている大腸を過度に刺激しなければよいわけです。そのためには腸管の炎症が強い時期でなければ、節度のある飲用で問題ありません。

薬局で販売しているお薬は問題ないのでしょうか?

基本的には問題ありませんが、解熱剤の服用で症状が悪化したり、抗生剤で下痢をすることがありますので、症状がよくならず調子が悪くなった時には薬を中止して早めに主治医に相談してください。

お酒について目安があれば教えてください。

どのくらいならば大丈夫というデータはありません。個人差が大きく、一概には言えませんが、原則的にはアルコールは腸管の粘膜に障害性を示し、病状が悪化する可能性があります。また、実際には飲み始めれば一杯のつもりが多くなってしまうことがあり得ると思われます。従って、現時点ではアルコールは控えたほうがよいでしょうと言わざるを得ません。

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