胃痛

注意が必要な胃痛

胃痛胃痛は、みぞおちの辺り(心窩部)の痛みのことです。シクシクと鈍い痛みが続く、ズキズキとした鼓動を感じるような痛み、キリキリとした鋭い痛み、キューっと差し込むような痛みなどいろいろな症状があります。
原因には、食あたりのような一過性のものから、すぐに受診しなければ命にかかわるようなものまで、様々なものがあります。

緊急性が高い危険な胃痛

  • 冷や汗の出るほど症状が重い
  • 突然の差し込むような痛み
  • だんだんと強くなっている
  • 立つ、歩くといった動作で痛みが響く
  • 痛む部分を押して離す際に痛みが強くなる
  • 胃痛に伴って嘔吐や吐血がある
  • 胃痛に伴って暗紫色から黒色のタールのような便がでた

早期受診が必要な胃痛

  • 胃痛が4週間以上続いている
  • 下痢便秘などの症状とともに発熱などもある胃痛

しばらく様子をみても大丈夫な胃痛

  • 食べ過ぎてしまった時の胃痛など、原因がはっきりしているもの
  • ちょっと痛んですぐに治まってしまった胃痛

消化器疾患の症状は、どれも似たような症状が起こることが多く、症状の強さが必ずしも疾患の重篤度と一致しないこともあります。症状が気になる場合には、お早めに当院の消化器内科を受診してください。

胃痛の原因

食生活

食事暴飲暴食が主な要因となります。特に脂っこいものや肉などのたんぱく質は消化に時間がかかるため、胃に負担をかける原因となります。また、激辛の香辛料やカフェインなども過剰に摂取すると胃酸過多になります。こういった食生活を続けると胃痛を起こしやすくなります。

ストレス

消化管は脳と密接な関係をもっており、通常は交感神経と副交感神経がうまくバランスをとっています。しかし強いストレスや過労などによってこのバランスが乱れることで、胃の運動機能の低下や亢進などが起こり、胃痛が起こります。

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)

ピロリ菌は細菌の一種で、ウレアーゼという酵素によって、周りにある尿素を中和して胃粘膜に棲みつきます。アンモニアには毒性があり、胃粘膜に炎症が起こり胃痛を生じます。

考えられる疾患

急性胃炎

突然胃痛を生じ、それに伴って胸焼け、悪心(吐き気)、胃の張りや膨満感などの症状が起こります。原因としては、薬の副作用やアルコールによるもの、ストレスによるものがあり、さらに食べ過ぎなども原因となります。

慢性胃炎

みぞおちの辺り(心窩部)の痛みが続き、それに伴って胃もたれ、むかつきといった症状もあらわれます。慢性胃炎のほとんどの原因はピロリ菌によるものですが、その他にも薬剤性のものや、長期間続いた食事や生活の不摂生などが原因となることもあります。
胃が長期間にわたって炎症に晒されていると、潰瘍やがんなどを発症しやすくなります。また胃の粘膜が変化してしまう萎縮性胃炎を起こすと、胃がんの発症リスクが大きく高まります。

胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎

胃酸を含んだ胃の内容物が常に食道方向へ逆流することがあります。これによって食道に炎症が起こったのが逆流性食道炎、症状があるのに炎症がないのが非びらん性胃食道逆流症で、まとめて胃食道逆流症(GERD)といいます。
みぞおちの痛みのほかに、胸焼けや呑酸(すっぱいげっぷ)、のどのつかえ、風邪でもないのに続く咳などの症状が起こります。原因は加齢による筋力の低下、腹圧のかかる姿勢や衣服、肥満などが挙げられます。

胃・十二指腸潰瘍

胃の粘膜が炎症をおこし、深く傷ついた状態が胃潰瘍です。また同様に十二指腸の粘膜が深く傷ついた状態が十二指腸潰瘍です。原因はほとんどの場合、ピロリ菌感染によるもので、その他に薬剤性の潰瘍が続きます。
その他の原因としては、ストレスや食生活、飲酒などの他、喫煙も胃粘膜に影響があります。胃潰瘍は食後に胃痛を起こし、十二指腸潰瘍は食間・空腹時に痛みが起こることが多いとされます。

機能性ディスペプシア

胃痛、胸焼け、早期飽満感といった症状があるのに、検査を受けても器質的な疾患が見つからないと場合は機能性ディスペプシアの可能性があります。以前は神経性胃炎と診断されることが多かったのですが、近年の研究によって胃の運動機能や知覚機能が何らかの原因で障害されて起こると考えられるようになりました。
胃の機能を改善する効果的な治療薬もありますが、再発を繰り返しやすいため、生活習慣の見直しなどを行う必要があります。

胃痛の検査・診断

胃痛はよくある症状ですが、早急な治療が必要な場合もあります。まずは原因疾患をしっかりとつきとめて適切な治療を行うことが大切です。
そのため、問診でいつ頃からどのような症状があるか、食事について、生活習慣について、服用しているお薬などを詳細にお訊きします。
その結果から必要な検査を行い、原因を特定します。

超音波検査(腹部エコー)

膵臓、胆のう、肝臓といった消化に関わる臓器の状態は胃や大腸の内視鏡検査では確認できません。そのため、超音波をあてて反射して戻ってくる超音波の状態を画像化することで、これら臓器の位置や状態などを確認することができます。
当院での超音波検査は予約なしで受けることが可能です。その際は空腹で来ていただくとより正確な検査ができます。

血液検査

炎症の有無、感染の有無、肝臓、膵臓、腎臓などの状態、貧血の有無などを確認することができます。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

胃カメラ手元食道から胃、十二指腸までの粘膜の状態を直接観察し特徴的な病変の有無、炎症の有無などが確認できます。疑わしい病変がある場合、組織生検を施行して病理検査から確定診断に導きます。

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