ピロリ菌

ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは?ヘリコバクターピロリ菌とは、胃の粘膜に生息しているらせんの形をしている細菌です。
一方の端に鞭毛と呼ばれる毛が4~8本あり、これにより活発に動くことが可能です。胃は強い胃酸で守られているので、通常の菌は生息できませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」とよばれる酵素で周辺をアルカリ性に保ち、胃酸を中和させることで胃の中で生息することができます。ピロリ菌の感染率は、衛生環境と関係していると考えられ、上下水道が十分普及されていなかった世代で高い感染率となっています。
人から人への感染経路は、明確にはわかっておりませんが、経口感染(お口を介しての感染)が高いと考えられています。そのためご家族に胃がん・十二指腸がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などを発症した方がいる場合は、感染している可能性が考えられます。
除菌治療は、ご自身だけでなく次世代への感染を防ぐためにも大切な治療です。
慢性胃炎の方は、平成25年2月よりヘリコバクターピロリ菌検査と除菌治療が健康保険の適用となりました。

ピロリ菌検査について

胃内視鏡検査(胃カメラ)による生検(粘膜の組織を採取)による検査と、スクリーニング検査があります。健康保険で除菌治療を受けるには確定診断が必要なため、胃内視鏡検査が必須となります。

内視鏡を用いた検査方法

1、迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌の持つ酵素の働きで作り出されるアンモニアを調べてピロリ菌がいるかどうかを判断する方法です。

2、鏡検法

採取した組織を染色して顕微鏡で観察し、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。

3、培養法

採取した組織を培養し、ピロリ菌の増殖を調べます。

内視鏡を使わない検査方法

1、尿素呼気試験

検査用のお薬を飲んでいただき、一定時間経過したら、吐き出された呼気(息)を調べ、ピロリ菌の感染を判定します。

2、抗体測定

血液や尿を採取し、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べることで感染しているかどうかを判定します。

3、便中抗原測定

便を採取し、体内にピロリ菌に対する抗体があるか調べます。

ピロリ菌が引き起こす病気

ピロリ菌に感染していると、胃や十二指腸に炎症や潰瘍が起こります。
胃炎胃潰瘍、十二指腸潰瘍は再発しやすいため、ピロリ菌を除菌することで再発を抑制することが大切です。胃がんの発症リスクを高める胃や十二指腸の炎症や潰瘍は、早期に発見し治療を行うことで胃がんの予防につながります。

ピロリ菌の感染経路と予防方法

ピロリ菌の感染経路について

感染経路はまだはっきりとわかっていませんが、口を介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。また、ピロリ菌の感染率は、衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分普及していなかった世代の人で高い感染率となっています。

感染を防ぐ方法

感染を防ぐ方法

ピロリ菌感染を予防する方法は、よくわかっていません。我が国のピロリ菌感染率は、上下水道が十分完備されていなかった時代に生まれた団塊の世代以前の人では約80%前後と高いのですが、若い世代の感染率は年々低くなり、10代、20代では欧米とほとんど変わらなくなってきました。衛生環境が整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下しており、あまり神経質になる必要はないでしょう。

除菌治療の流れ

除菌治療の流れピロリ菌は、感染しているすべての方が除菌治療の対象というわけではなく、ピロリ菌が原因で胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしている方が除菌治療を行う必要があります。

 

1ピロリ菌の検査

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある患者様でピロリ菌に感染しているかどうか、検査で確定診断を行います。ピロリ菌感染が認められた方は、除菌治療へと進みます。

2一次除菌治療

2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑えるお薬を朝晩の一日2回服用していただきます。
7日間続けて服用いただき、一次除菌治療は終了となります。

3ピロリ菌の検査

治療から1か月後を目安にピロリ菌検査を行います。
一次除菌治療で、ピロリ菌の除菌ができたかどうかを調べます。除菌ができていたら、治療は終了です。除菌が完全にできていない場合は、二次除菌治療へと進みます。

4二次除菌治療

2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑えるお薬を朝晩の一日2回服用していただきます。このうち、抗菌薬2種類のうち1つは一次除菌の時とは別のお薬を使用します。服用期間は7日間です。

除菌治療の注意点

ピロリ菌を確実に除菌するために、処方されたお薬は必ず服用するようにお願いします。抗菌薬2種類、胃酸の分泌を抑えるお薬の計3錠を一日2回、7日間服用していただきます。ご自身の判断で服用を途中で中止した場合、除菌に失敗して治療薬に耐性を持ったピロリ菌が現れることがあるので、必ず定められた期間でお薬を飲み切ってください。
1次除菌治療後、4週間あけて行うピロリ菌検査は必ず受けてください。
抗菌薬には、人によって下痢や口内炎、味覚異常などの副作用が現れることがありますが、服用終了後には、このような症状はなくなります。
お薬の服用中に、蕁麻疹や息苦しさ、咳、喘息といったアレルギー症状が出た場合は、すぐに病院へ連絡するようにしましょう。

除菌治療の成功率

定められた期間に、正しくお薬を服用していただければ、1次除菌治療での成功率は80%です。また、1次除菌治療で、完全に除菌ができなかった方も、2次除菌治療では80%を超える確率で除菌に成功します。
確実に除菌治療を行うためには、処方されたお薬をきちんと服用することが重要です。

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